コーヒー豆が届くまで:生産国と消費国での担い手たち
- 優真 高崎
- 1 時間前
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▼目次
生産国側
消費国側
―生産国と消費国で活躍する人たち―
私たちが日々扱っているコーヒー豆。
その裏側には、どれだけ多くの人の手と工程が関わっているか、改めて見つめ直したことはありますか?
コーヒー豆は、遠く離れた生産国で育てられ、いくつもの工程と輸送を経て、ようやく日本のカフェや家庭に届きます。
本記事では、「生産国」と「消費国」の2つの視点から、コーヒー豆の旅路を支える担い手たちをご紹介します。まずは、一般的なコーヒー流通の流れに沿って、それぞれの工程でどんな人々がどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。
生産国側
①生産者(農園主・小規模農家)
コーヒー豆の栽培を行う人たちです。
ブラジルを除くほとんどの国では、小規模生産者が苗の育成から収穫までを手作業で行っています。
生産者は収穫したコーヒーチェリーを協同組合・農協に販売することで生計を立てています。
国によってコーヒーチェリーの流通形態は異なりますが、エチオピアではコーヒーチェリーのまま運ばれることが一般的です。
最近では、農園主というよりも経営者のような立場の人が増えており、栽培から精製・輸出まで一貫して行う生産者も増えています(ALO COFFEE社のTamiruさんや、KARAMO COFFEE社のNigusseさんなど)。

②ピッカー(チェリーの収穫者)
スペシャルティコーヒーは品質を保つためには、熟したコーヒーチェリーのみを収穫する必要があります。同じ木になっているチェリーでも熟度は均一ではないため、人の目と手による丁寧な収穫が求められます。
地域によっては農園スタッフが兼ねている場合もありますが、中南米などでは収穫期にピッカーを雇うケースもあります。
1人が1日に収穫できるコーヒーチェリーは100kg程度で、ここから生豆を取り出すと20〜25kg程度です。クオリティを求める農園では複数回に分けて収穫するため、人も時間も多くかかります。

③協同組合・農協
複数の生産者が組織し、販売交渉・品質管理・技術共有などを行う団体です。
収穫されたチェリーを生産者から購入し、豆を取り出して発酵・洗浄・乾燥などの精製処理(ウォッシュト、ナチュラルなど)を行い、主に下記の2種に分類されています。
ウェットミル:果肉の除去や洗浄(ウォッシュト)
ドライミル:脱殼、選別、グレーディング、袋詰め
この工程で手を抜くと、どれだけチェリーが良くても品質が大きく損なわれるため、非常に重要な段階です。

④エクスポーター(輸出業者)
協同組合や農協から精製されたコーヒー生豆を引き取り・購買する人たちです。
消費国へ輸送するために契約を結び、インポーターへの出荷を手配し、港への輸送や書類手配も行います。
出荷前に輸出するコーヒー豆の最終チェックを実施し、買い手に正確な情報を提供します。
同じ農園名の生豆でもエクスポーターが違えばクオリティが変わることがあるので、ロースターによっては購入時にエクスポーターを重視する方もいます。

⑤物流業者
コーヒー豆を、消費国へ運ぶ業者です。
一般的にはコンテナに詰めたものを船舶で運搬し、保険も含まれます。
巨大なコンテナ船で1-2ヶ月かけて日本に届きます。
一部の高級ロットは空輸便で運ばれることがあり、数日で日本に届きます。
環境の負荷が小さいため劣化がない反面、輸送コストは距離にもよりますが数倍になります。

消費国側
⑥インポーター(輸入業者・商社)
エクスポーターや協同組合から⽣⾖を引き受け・購買する人たちで、弊社はこちらのポジションに当たります。
輸入に必要な書類の用意、通関手続きなども担当。
生豆がロースターに渡るまで港の近くにある定温倉庫で生豆を保管します。

⑦ロースター
インポーターが仕入れた生豆を購入し、焙煎して風味を引き出す人です。
小規模カフェから大手メーカーまで様々で、ロースターによって焙煎機や焙煎スタイルの考え方によって、同じ生豆でも風味が異なっていたりします。
ロースターによってはインポーターに同行し、生産地まで行ってオリジナルロットを依頼する方もいます。

