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コーヒー豆が届くまで:Ethiopian Coffee Houseの仕事


▼目次


Ethiopian Coffee Houseの場合:コーヒーが日本に届くまで

一般的なコーヒー流通の流れは前回の記事でご紹介しましたが、今回は、私たちEthiopian Coffee House(以下、E.C.H.)が実際にどのようなプロセスを経てコーヒーを日本に届けているのか、その“リアルな流れ”をお伝えするとともに、今回はその中でも、私たちEthiopian Coffee Houseがどんな役割を担っているのか、そしてなぜそれにこだわるのかをお伝えします。


① E.C.H.の輸入スタイル:
「自社商品」と「他社からの買い付け」

E.C.H.では、コーヒー豆の輸入において主に以下の2つのスタイルを取っています。

◆自社商品(Temerachi Coffee 取扱)
対象
Temerachi Coffee が取り扱うロット (例:イルガチェフェ、ゲデブなど)

関与度
生産・精製工程から選定まで深く関与

生産者との関係
継続的なパートナーシップを築き、生産現場と共に品質・サステナビリティを追求
コミュニティ支援やクオリティコントロールにも主体的に関与

管理範囲
買付・品質管理・輸入〜通関・販売まで一貫対応


他社からの買い付け(依頼ベース)
対象
他社が扱うご指定のロット

関与度
希望ロットを現地で確保・ プロセスの相談・輸入手配

生産者との関係
サプライチェーンが確立し、国際的にも信頼されている生産者との取引
ご要望に応じて、品質管理や地域支援にも柔軟に対応

管理範囲
現地交渉から輸入書類・通関・販売まで一括してサポート


Temerachi Coffee Office
弊社代表Dawitがエチオピアに設立した輸出会社

生産地との直接関係
E.C.H.はエチオピア現地の輸出会社 Temerachi Coffee (テメラチコーヒー) をはじめ、複数の生産者・精製所と直接契約を結んでいます。年に数回現地を訪れ、生産現場の状況確認と品質向上に向けた意見交換を行っています。

Temerachi Coffee 取り扱いエリア
  • Yirgacheffe Haru Suke(自社農園):農園主は弊社代表ダウィット。将来的に農園敷地内にロッジ建設を予定。
  • Yirgacheffe Aricha/Gedeb Halo:契約農家よりダイレクトにチェリーを買付。輸出ライセンスはTemerachi Coffeeが保有。

このパートナーシップにより、コストを抑えつつ高品質な豆を安定供給可能に。インフレによる価格高騰の中でも、適正価格での流通を目指しています。


価値を共につくるロットづくり
「どのロットを買うか」ではなく、「どんなロットを共に作るか」を重視。Haru Sukeの新ロット(2022年から販売)は“Near to Zero Defect”をテーマに、焙煎後のハンドピック負担を軽減する選別精度を追求しています。
また、輸出〜販売までを一貫管理することで中間マージンを抑え、品質と価格のバランスを最適化。売上の一部を【Matane Project】を通じて現地支援に還元する取り組みも行っています。


他社からの買い付け
他社が選定したロット(信頼あるサプライチェーン経由)を、現地で弊社代表が確認・買付し、輸入・通関・物流まで一貫してサポート。品質と安全性を確保した形でロースターの皆さまにお届けしています。

取引実績のあるパートナー:
  • ALO COFFEE
  • Daye Bensa Coffee
  • Dumerso Coffee
  • Gesha Village
  • KARAMO COFFEE
  • SOOKOO COFFEE など
ゲデブ ハロにてダウィットとゼリフン
自社商品 Gedeb Halo(ゲデブ ハロ)のナチュラルサイトにて

ダウィットとDaye Bensa Coffee のケネアン
他社のDaye Bensa Coffeeオフィスにて

② 「この人が作っている」を伝えるために──トレーサビリティの考え方
E.C.H.では、ひとつひとつのロットを「商品番号」としてではなく、「誰が、どのような想いで作っているのか」という“人との関係性“として捉えています。
だからこそ、私たちはただ買い付けるだけでなく、その人と共に時間を重ね、信頼を築いていくことを何より大切にしています。

■ ALO COFFEE
タミル氏のコーヒーを私たちがロースターの皆さまに初めてご紹介したのは2021年。
アロベリーについては、当時は豆のサイズが小さいという理由だけで「価値がない」とされ、国内外問わず売れにくいとされていました。
それでも私たちは、彼のコーヒーに確かな品質とポテンシャルを感じ、農園を毎年訪問しながら、彼との信頼関係を丁寧に築いてきました。
展示会やセミナー、自社開催のローストコンペなど、地道なプロモーションを重ねていく中で、タミル氏のコーヒーは徐々に注目を集め、今では日本発信で世界中のロースターに支持される存在となりました。
私たちが届けたのは“豆”だけではなく、彼の努力や情熱、その背景にあるストーリーでもあったと自負しています。

AMBESSA JAPAN 2024の優勝者へトロフィーを贈呈
自社開催のローストコンペAMBESSA JAPAN 2024

■ Gesha Village
毎年オンラインカッピングを通じて、現地の最新状況をリアルタイムでお届けしています。
さらに、買付ツアーではオフィスを訪問し、現地スタッフと直接対話の機会を設けることで、距離のある産地との繋がりをよりリアルに感じてもらえるよう努めています。

Gesha Villageオフィス訪問
Gesha Villageのオフィス訪問シーン

■ Temerachi Coffee
ゲデブにあるハロ ハルトゥミは、
2022年より、Temerachi Coffeeとの間でダイレクトにチェリーを買い付ける取り組みをスタート。
弊社代表・ダウィットとともに取り組んだスロードライナチュラルプロセスのロットは、2024年のCup of Excellenceで36位に入賞。2021年に続き、ゲデブエリアで唯一の入賞となりました。
こうした成果の裏には、「良質なコーヒーを共につくり、届ける」という生産者との共通の意思があります。
私たちはその関係性を一歩進め、【Matane Project】というかたちで、収益の一部を現地コミュニティに還元する取り組みへと発展させてきました。
これは単なる取引ではなく、持続可能で互いに支え合う関係をつくるための第一歩でもあります。

ゲデブの子どもたちとコーヒーツアー参加者
農園の敷地内にある学校校舎の外にて

③ 「現地ではどんなことを聞いているのか?」──丁寧な現地確認
買付の際、代表のダウィットがエチオピア各地の生産者と現地語で直接対話を重ねています。
言葉を通して文化や価値観まで共有することで、信頼関係はより深まります。
私たちが確認しているのは、単なるスペックや品質情報だけではありません。
その土地・その人ならではのリアルな背景や価値観を、丁寧にすくい取っていきます。

現地で確認していること(一部):
  • クオリティについての考え方
    └ 生産者自身がどう感じているか、何を目指しているか

  • 面白いストーリーや背景
    └ そのロットが生まれた理由や、育まれた環境

  • コミュニティへの貢献意識
    └ 雇用、教育、インフラへの還元などの取り組み

  • 日本のロースターからの要望や関心
    └ 品種、プロセス、スクリーンサイズなど

  • 環境への責任意識
    └ 土壌や水資源への配慮、持続可能な農法の実践

  • 価格に対する感覚と期待
    └ 高品質に見合った価格設定か、現地での収益性

こうしたやり取りは、現地のリアルを掴み、それを正しく伝えるために欠かせないプロセスです。
とくにエチオピアのような多民族・多言語国家においては、現地語での丁寧な対話が信頼構築の第一歩になります。


ALO COFFEEのウォッシングステーションにてダウィットとタミル
ALO COFFEEのウォッシングステーションにて

④ 農園を、共に訪ねる──「共同買付ロット」という体験
E.C.H.では、年に一度のエチオピア買付ツアーを通じて、ロースター・バイヤーの皆さまをご案内し、現地生産地でのロット選定をサポートしています。

  • 農園や精製所の視察
  • 農園主とのカッピングセッション
  • 現地学校の訪問

この体験を通じて、「どこで、誰が、どうやって作っているか」を目で見て感じることができ、それが日常の提案やメニューづくりにも説得力を与えます。

イルガチェフェ ハルスケ農園で集合写真
自社農園のイルガチェフェ ハル スケ

ALO COFFEEのオフィスでコーヒーツアー参加者とカッピングセッション
ALO COFFEEオフィスでのカッピングセッション

ゲデブ農園の学校の教室にいる子どもたち
ゲデブ ハロの学校の教室

⑤ 私たちが現地に関わり続ける理由──“evenな関係“を目指して
E.C.H.は、エチオピア出身のダウィットが今から約10年前、2015年に立ち上げた会社です。
彼自身が得てきた現地での“経験“や”人とのつながり“を大切にしながら、日本とエチオピアをつなぐコーヒーの仕事を形にしてきました。

その想いに共感し、立ち上げ当初から関わってきたスタッフたち──現地の仲間はもちろん、日本に拠点を置くスタッフもまた、毎年エチオピアを訪れ、現地の人々や暮らしに触れながら、知見を積み重ねてきました。
そのひとりひとりの積み重ねが、今のE.C.H.の事業の基盤になっています。

ダウィットは現在、弊社代表として、エチオピア国内で生産者と現地語で日々直接やり取りし、
彼らが抱える課題や必要としていることを、言葉だけでなく文化や空気感ごと丁寧に受け止めています。

語弊を恐れずに言えば、私たちがエチオピアのすべてを救えるわけではありません。
でも、ダウィットが日々関わっている生産者たち──そこに暮らし、コーヒーを作り、生活を支えている人々に対して、自分たちにできることを、できる範囲で丁寧に続けていくこと、それが、E.C.H.の信念です。

そしてその関係性は、決して「支援する/される」という構図ではなく、
“evenな関係“──対等な立場で築く信頼と協働でありたいと、私たちは常に考えています。

大それたことはできないかもしれません。
でも、自分たちの手が届くところにいる誰かのために、自分たちにできることを、実感を持って続けていく。
そうした積み重ねが、コーヒーの未来を少しずつでも良い方向へと動かしていくと信じています。

Chilakaにてダウィットとタミルさん
左:弊社代表ダウィット、右:ALO COFFEE 代表タミルさん
コーヒーツアー参加者とゲデブ ハロの生産者ゼリフンさん
コーヒーツアー参加者と交流するゲデブ ハロの生産者ゼリフンさん(中央)
ECHスタッフの木村と代表ダウィット
アリチャにある倉庫にて現地の女性たちと交流するコーヒーツアー参加者
左:エチオピア6回渡航経験のあるスタッフ木村、右:弊社代表ダウィット
左:エチオピア6回渡航経験のあるスタッフ木村、右:弊社代表ダウィット


最後に


▷ コーヒーの背景に関心を持った方へ
ここまでお読みいただきありがとうございました。
E.C.H.では、生産者との関係性やロットの背景を大切にしながら、コーヒーを日本に届けています。

もしこの記事を通じて、
「このロットについてもっと詳しく知りたい」
「買付ツアーに興味がある」
「自分のお店に合うロットを一緒に探したい」
と思っていただけたなら、ぜひお気軽にご相談ください。

これまで積み重ねてきた現地とのやり取りや、私たちが直接関わってきたロットの情報など、
できるだけ丁寧にご案内させていただきます。

自社農園イルガチェフェのハル スケにてコーヒーツアー参加者に説明をしているダウィット
自社農園イルガチェフェのハル スケにて

弊社代表ダウィット
弊社代表ダウィット


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