知られざるエチオピアのコーヒー生産者「TESTI COFFEE」とは
11 分前
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エチオピアには、地域ごとに異なる品種や風味を持つコーヒーが生産されています。その中で、複数の産地に自社のウォッシングステーションを構え、農家からチェリーを集め、精製・品質管理・輸出までを行っているのがTESTI COFFEEです。
本記事では、TESTI COFFEEがどのような会社なのか、創業者Faysel Abdosh氏がどのような経歴からコーヒーの仕事を始めたのか、そして各産地でどのようにコーヒーを生産しているのかをご紹介します。さらに、2025年に開催されたTESTI COFFEE初のプライベートオークションと、Ethiopian Coffee Houseが落札したロットについてもご紹介します。
TESTI COFFEEとは?
TESTI COFFEEは、エチオピアを拠点にスペシャルティコーヒーの生産・加工・輸出を行う家族経営の会社です。2009年にFaysel Abdosh氏(フェイサル・アブドシュ氏)によって設立されました(出典1)。
TESTIは、Guji(グジ)、West Arsi(ウエスト アルシ)、Sidama(シダマ)、Yirgacheffe(イルガチェフェ)など、エチオピアを代表する複数の産地でコーヒーを生産しています。自社のウォッシングステーションを複数の産地に設け、地域の生産者からコーヒーチェリーを買い付けて精製するほか、提携するウォッシングステーションからパーチメントコーヒーを購入するなど、複数の方法でコーヒーを集めています。
TESTIが掲げるのは、品質の追求と長期的なビジネス関係の構築です。コーヒーの選別や精製、品質検査など各工程を重視し、生産地に近い場所で品質を管理しながら、高品質なスペシャルティコーヒーを世界へ輸出しています。

創業者Faysel Abdosh氏とTESTI COFFEEの歩み
TESTI COFFEEを設立したFaysel Abdosh氏は、エチオピア東部のHarar(ハラール)で生まれ、コーヒー農園を営む父親のもとで育ちました。
その後、家族とともにBench Maji(ベンチ・マジ)へ移り、高校在学中から農家からコーヒーを買い付け、地域の市場へ販売する仕事を始めました。こうした経験を経て、2009年には、父親から受け継いだコーヒーへの思いと家族の伝統を背景にTESTIを設立しました。
事業を拡大する中でFaysel氏が力を入れてきたのが、生産地に近い場所でコーヒーの買い付けから精製、品質管理までを行う体制です。
TESTIは自らウォッシングステーションを設立し、地域の農家からチェリーを買い付け、産地ごとに精製・乾燥を行っています。現在では、グジ、シダマ、イルガチェフェなど20以上のウォッシングステーションを展開しています。
生産者との関係から始まる品質管理
TESTIでは、農家での収穫段階から品質管理に取り組んでいます。完熟したチェリーを選別して収穫するため、フィールドスタッフが農家を訪問し、収穫時期やチェリーの状態を確認しています(出典3)。
収穫されたチェリーはウォッシングステーションへ運ばれ、そこで精製、乾燥、選別され、その後各ロットの品質検査を行います。また、農家から買い付けたチェリーに対して、通常の市場価格に加えてプレミアムを支払うほか、条件を満たした登録農家には、後から追加のプレミアムが支払われる仕組みも設けています。
このようにTESTIでは、完熟したチェリーの収穫から買い付け、精製、乾燥、選別、品質検査まで、複数の工程で品質を管理するととともに、生産者にも、品質に応じた対価を支払うことで、高品質なコーヒーの生産を継続できる仕組みを整えています。

地域とともに取り組む「Project Direct」
TESTI COFFEEは、コーヒーの品質向上だけでなく、生産地域の教育や生活環境を支援する「Project Direct」にも取り組んでいます(出典2,4)。
Project Directでは、地域のニーズに応じて、農家の子どもたちへの教育支援や学用品の提供、電力や安全な水の整備などを行っています。これまでに、ウォッシングステーションがある4地域で小学校を建設し、学用品の提供や、成績優秀な生徒への経済的支援・奨学金の提供などを行ってきました。
また、シダマ地域では高校建設への資金提供を行うほか、Shantawane(シャンタワネ)村では電力施設の整備、ウォッシングステーション周辺の地域では、安全な水や電力を利用できる環境の整備にも取り組んでいます。
こうした活動は、コーヒーの生産地域で暮らす人々の教育や生活環境の改善を目的としています。TESTI COFFEEは、高品質なコーヒーを生産するだけでなく、その生産を支える農家や地域社会への還元も、自社の使命の一つとして掲げています。


TESTI COFFEEのコーヒー
TESTIは、エチオピアを代表する複数のコーヒー産地でコーヒーを生産・加工しています。主な産地として、Guji(グジ)、West Arsi(ウエスト アルシ)、Sidama(シダマ)、Yirgacheffe(イルガチェフェ)があります。
精製方法も、Washed、Natural、Anaerobic、Honeyなど幅広く、産地や品種の特徴を生かしたコーヒーづくりを行っています。
例えば、グジではWashedとNaturalの両方を生産しています。シダマでは華やかな香りを持つWashed、ウエスト アルシでは果実感のあるNaturalなど、ウォッシングステーションごとに異なる特徴を持つコーヒーがつくられています(出典4)。
このように、TESTIでは複数の産地とウォッシングステーションで、産地や品種の特徴に合わせたさまざまなコーヒーを生産しています。

オークションとEthiopian Coffee Houseの落札ロット
TESTI COFFEEのコーヒーは、国際的なコーヒーコンペティションやオークションでも評価されています。
TESTI COFFEEのロットは、Cup of Excellence Ethiopiaでも評価されています。2020年には12位、2021年には20位、22位となりました(出典5、6)。スペシャルティコーヒーの品質を競う場でも、継続的に評価されています。
2025年7月14~16日には、Faysel Abdosh氏による初のプライベートオークション「Faysel Abdosh Signature Auction」が開催されました。世界各国から合計4,592件の入札があり、総取引額はUS$115,286.25(約1,770万円)。最高落札価格は1kgあたりUS$1,604(約24万6,000円)となりました(出典7)。
Ethiopian Coffee Houseでは、オークションに先立ち、出品予定のロットをカッピングしました。その際、Faysel Abdosh氏ともオンラインでつながり、TESTI COFFEEのコーヒーづくりやオークションについて、直接話を伺いました。
その中で私たちが落札したのが、Sidama Keramo Washedです。
30kgのみの限定ロットで、落札価格はUS$219/kg(約3万4,000円/kg)、総額US$6,570(約101万円)。429件の入札が入ったExclusive Collectionのロットです(出典7)。
このロットは、1名の生産者によるコーヒーを30kgという小さな単位で仕上げたものです。標高2,300~2,400mで栽培され、24時間の発酵を経て、パラボリックシェードネットの下で17日間かけて乾燥されています。味わいは、甘く明るい柑橘系の印象に、スパイスやカルダモンを思わせる複雑な風味が重なります。長く続く余韻も、このロットの特徴の一つです(出典7)。
一般的な流通ロットとは異なり、特定の生産条件と品質を持つ少量のオークションロット。
Ethiopian Coffee Houseでは、こうした通常の流通では出会いにくいコーヒーを、オークションを通じて日本のロースターやコーヒーを楽しむ方々に届けています。





